Replicate

何重測定が良いか? 

○アッセイの施行法から考えると
1ウェルでの測定結果をサポートする側面的データが無いこと.
もし測定操作で誤りやピペッティングの誤差があったとしても比較検討することができない.強いて言えば同一実験群の他の試料とかけ離れた結果でなければ一応測定操作に間違いは無かっただろうと推定することになるのだが,本当にそれでよいのかと言う疑問が残る.
 2重,3重測定ならばそれぞれの測定値がまとまっていれば測定操作に間違いがなかったと判定できる.
それでは2重測定でも二つの測定値がかけ離れているときはどうするかと言うことなのであるが,2重測定の場合にはどちらが異常なのか正しいのか判らない.強いて言うならば,同一実験群に属する他の試料との比較で考えることになる.3重測定ならば他の二つからかけ離れている測定値は棄却することもできる.厳密に言えば棄却検定をした方が良いのだが試料数が少ないときには棄却することは難しくなる.特に2重測定では棄却検定のしようがない.あまり変な値でなければ棄却しないで平均値を求める方が無難であろう.

○統計学的に考えると
1ウェルの場合は自由度がゼロになる.したがって統計学的には信頼度はゼロである.2重,3重測定ならば平均値と標準誤差が計算できるので,測定値の95%信頼限界が判定できる.平均値の分布の形を示す標準誤差は試料数の平方根に反比例するので,レプリケートの数が多ければ平均値の信頼限界は狭くなり信用度は上がる.一方,標本の分布の形を示す標準偏差は試料数に関係なくほぼ一定なのだが,その信頼度は試料数に依存する.
下のグラフは平均測定値を1,標準偏差を0.05(つまり相対標準偏差或いは変動係数を5%と仮定した時,測定の繰り返し,即ちウェルの数と求められた平均値の95%信頼区間を示したものである.シングルアッセイは論外だが,2重アッセイでの平均値の信頼区間は上下約50%となる.3重測定で区間は上下10%強と狭くなる。3重測定が推奨される理由である.