測定感度とは
測定感度
RIAの創始者であるYalowは測定系の感度を決定する方法として,「Blank値の平均値+2×標準偏差(SD)以上を与える濃度」を提唱しました.これはBlankの母集団を考えると分布の95%限界を超える範囲よりも高いほうに外れるので,もっともな事と考えてよいでしょうが...
ICH (International Conference of Harmonization, 日米EU三極医薬品承認審査ハーモナイゼーション国際会議) で検討された実施項目では次のように定められています.
検出限界 (Detection Limit)
検出限界とは分析対象物の検出可能な最低の量をいいます.いわゆる「測定感度(sensitivity)」と呼ばれたこともあります.
これははっきりと存在が検出できれば良く,定量できる必要は無いのです.ELISAで言えば,以前はブランクの吸光度+2SDを与えるような測定対象物質の量或いは濃度とされることが多かったのです.母集団の標準偏差をσとすれば確かに平均値±2σ範囲は母集団の約95%を含む領域になりますが,限られた試料数から求められるSDは信頼性が充分ではありません.
そこでISOおよびIUPACの定義に基づくICHの検出限界の合意は,
DL = 3.3s/a
s:blank試料の測定値のSD
a:検出限界付近の検量線の勾配
ということになっています.
定義の式を変形してみるとわかりますがDLでのCVは30% に相当します.
例としてシバヤギのマウスプロインスリンELISAキットのブランク近傍検量線でDLと次項で述べるQLをお示ししましょう.