アディポネクチン

アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるサイトカイン、すなわちadipocytokine(adipokine)のひとつで脂肪代謝とインスリン感受性を制御し、抗糖尿病、抗アテローム(抗粥状硬化症)、抗炎症性作用を示す重要な物質です。血中アディポネクチンは、単量体が集合して3量体、6量体あるいは12-18量体を形成しています。3量体(LMW)は、コラーゲン領域にある三重鎖へリックスの非共有結合相互作用と球状C1qドメインにある疎水性交互作用によって形成されます。3量体が集まって6量体(MMW)やもっと大きな複合体(HMW)を形成します。Adiponectinはさまざまな成長因子と明瞭な親和性で結合し、隔離することで細胞の成長と血管新生、組織の再構成に影響を及ぼすとされています。血中HMWの測定値は、トータルアディポネクチンよりもBMIや性別、体重減少の影響、グルコース・トレランス、肝臓のインスリン感受性、メタボリック症候群や2型糖尿病をより明確に反映するとされています。従って、HMWの測定はトータルアディポネクチンを測定するより、メタボリック症候群やDM2の解析により役に立つことが期待されます。
富士フイルムワコーシバヤギのレビス高分子アディポネクチン-マウス/ラットELISAキットは高分子アディポネクチン(HMW)のみを測定します。

特長

  • 検量線範囲:3.13 ng/mL~200 ng/mL
    ※78.25~5000 ng/mL(検体25倍希釈時)
    ※0.1565~10 μg/mL(検体50倍希釈時)
  • 短時間で測定可能(反応時間:4時間)
  • 微量検体で測定可能(希釈検体 50 µL, 希釈目安 25 ~ 50倍)
  • 全ての試薬が溶液タイプで即座に使用可能
  • 高い精度と再現性

キット構成

構成品 状態 容量
(A) 抗体固相化 96 ウェルプレート
(B) 標準溶液(2000 ng/mL)
(C) 緩衝液
(D) HRP標識抗アディポネクチン抗体
(F) 発色液(TMB)
(H) 反応停止液(1M H2SO4)
(I) 濃縮洗浄液(10×)
プレートシール
取扱説明書
洗浄後使用
希釈後使用
そのまま使用
希釈後使用
そのまま使用
そのまま使用
希釈後使用
96 wells(8×12) / 1 枚
200 μL / 1 本
60 mL / 1 本
100 μL / 1 本
12 mL / 1 本
12 mL / 1 本
100 mL / 1 本
3 枚
1 部

交差反応性

動物種 対象物質 反応性および反応率(%)
Mouse Adiponectin(HMW) 100
Adiponectin(Hexamer) < 5
Adiponectin(Trimer) 交差反応性なし
Adiponectin(Monomer) 交差反応性なし
MCH 交差反応性なし
TNF-α 交差反応性なし
IFN-γ 交差反応性なし
Insulin 交差反応性なし
Leptin 交差反応性なし
Rat Adiponectin(HMW) 100
Adiponectin(Monomer) 交差反応性なし
TNF-α 交差反応性なし
IFN-γ 交差反応性なし
Insulin 交差反応性なし
Leptin 交差反応性なし

                               ※交差率は、1000 ng/mL濃度時

操作法・標準曲線例

  • 操作法

  • 標準曲線例

    ※プレートリーダーはSafire2/TECANを使用
    ※吸光度は測定環境により変動します
    ※演算処理は3次元項式を使用

測定例

  • マウス/ラット検体高分子アディポネクチン測定結果

    検体:血清,採血時の絶食なし、 採血時の麻酔:イソフルラン、
    採血部位:心臓(KKAY/Taは腹大動脈) 、 飼育条件:KKAy/Taのみ単独飼育

    動物種 系統 週齢 雄雌 測定値 標準偏差 検体数
    Mouse BALB/c 6w オス 2369 743 10
    ICR 6w オス 2119 802 10
    BKS.Cg-+Leprdb/+Leprdb/ 12w オス 1802 875 10
    KKAy/Ta 12w オス 2141 937 16
    B6.V-Kepob 12w オス 1229 437 10
    Rat CD(SD) 8w オス 3220 670 9
    GK 12w オス 3512 304 10
    ZUC-Leprfa 8w オス 1991 1120 10

    単位:ng/mL,2重測定   

  • マウス雌雄別高分子アディポネクチン測定結果

    検体:血清、 麻酔:イソフルラン、 採血部位:心臓採血,採血時の絶食:24時間、
    飼料:通常飼料CRF-1、 飼育条件:群飼育

      Mean±SE **P<0.01   

マウス投薬試験結果の一例

  • スケジュール
    Day -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7
    薬剤/生食投与
    採血
    高脂肪食

    マウス:KKAy/Ta, オス, 7W, 6匹/群
    飼料 :高脂肪食(20 %大豆油添加CE-2)
    試験群:ビオグリタゾン, 10 mg/10 mL/kg
    対象群:生理食塩水, 10 mL/kg

  •       Pre :n=12 * P<0.05 vs Pre
          対象群:n=6 **P<0.01 vs Pre
          試験群:n=6
          採血 :午後

バリデーションデータ

  • 精度試験(アッセイ内変動)

    検体 A B
    1 29.5 129
    2 30.7 125
    3 29.8 128
    4 29.0 126
    5 29.6 126
    mean 29.7 127
    SD 0.631 1.89
    CV(%) 2.12 1.49

    単位:ng/mL

  • 再現性試験(アッセイ間変動)

    測定日/検体 C D E
    0日目 196 126 62.5
    1日目 192 130 59.1
    2日目 196 125 60.7
    3日目 190 125 60.3
    mean 196 127 60.7
    SD 2.63 2.27 1.41
    CV(%) 1.36 1.79 2.33

    単位:ng/mL n=2

添加回収試験

  • 検体H
    添加量 実測値 回収量 回収率(%)
    0 68.5 - -
    35.0 103 34.5 98.6
    65.0 132 63.5 97.7
    95.0 165 96.9 102

    単位:pmol/mL n=2

  • 検体I
    添加量 実測値 回収量 回収率(%)
    0 23.3 - -
    18.0 40.3 17.0 94.4
    26.0 50.6 27.3 105
    32.0 55.5 32.2 101

    単位:ng/mL n=2

希釈直線性試験

2血清検体を連続的に希釈用緩衝液で3段階希釈し測定した結果、直線回帰のR2は0.9987から0.9993でした。

論文リスト

富士フイルムワコーシバヤギHPから閲覧可能です。

製品一覧

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