アルブミンは細胞や体液中に含まれ、水溶性の高い主として単純タンパク質ですが、糖を含むものも見出されています。血清アルブミンは血漿タンパク質中の56 – 60 %を占める分子量約69 000、等電点4.9の単純タンパク質で、肝細胞で合成されます。
血清アルブミンは血清タンパクの大半以上を占め、浸透圧維持に重要な役割を果たし、水に難溶性の物質、例えば生理的には脂肪酸、ビリルビン、チロキシンなどと結合してこれらの運搬作用に寄与しています。血清アルブミンの濃度は、肝硬変などでのアルブミンの生合成低下、栄養不良や熱性疾患での体タンパク質損耗に基づく血液中のアルブミンの消費、腎障害による尿への漏出等で低下します。
健常人での尿中への血清アルブミンの排泄は通常ごく僅かで1日30 mg以下ですが、腎疾患に際して尿中への漏出が増大するので糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症等の腎疾患で尿中アルブミンレベルは増大します。また発熱、高血圧、うっ血性心不全、尿路感染症などの場合に尿中アルブミンレベルが増加することがあります。健常人でも過激な運動や筋肉労働後、熱い湯での入浴後、精神的興奮、ストレス、多量のタンパク質の摂取後および月経前などに尿中アルブミンの一過性増加がみられ、生理的または機能的タンパク尿或いは運動性蛋白尿と言われます。また主に若年者において、しばしば起立時にのみタンパク尿がみられることがあります。
ヒトで低アルブミン血症と呼ばれるまれな先天性疾患があり、無アルブミン血症とも呼ばれますが正確にはごく少量のアルブミンがあり、臨床症状は軽度の浮腫と中等度の低血圧であり、肝機能異常やタンパク尿は認められないようです。動物ではラットに無アルブミン血症analbuminemiaのモデルがあります。佐々木研究所の長瀬スミ先生がSprague-Dawley rat (SD ラット)から開発されたもので、NAR (Nagase analbuminemia rat)と呼ばれています。
血清アルブミンの測定は、マクロ的にはTIAの測定系がよろしく、弊社でもラット、マウスについての自動測定器用TIAを提供しておりますが、ELISAによる測定系では高感度で微量測定が可能です。弊社のレビスアルブミンELISAキットは血液中、尿中のアルブミンを疾患との関連で定量する他に、インビトロのアルブミン生合成実験系、培養系で作製された生理活性物質を精製した場合のFCS等のcontaminationの検討、NARでの肝細胞、肝組織移植後の、アルブミン産生をメルクマールとする成否の検討、などにも応用が可能です。
キットの特徴
● ラットアルブミンに特異的に反応します。 |
● 自動分析装置で短時間(10分)測定が可能。 |
● 無調製試液なので取り扱いが簡便です。 |
● 測定範囲が広く、再現性に優れています。 |
● 乳ビ、溶血の影響をほとんど受けません。 |
● 血清中アルブミンの定量測定も可能です。 |
キットの構成
構 成 品 | 容 量 |
①反応試薬1(緩衝液)(日立7180対応60 mLボトル使用) | 57.8 mL/1本 |
②反応試薬2(抗ラットアルブミン抗体試液)(日立7180対応20 mLボトル使用) | 16.5 mL/1 本 |
③標準尿中ラットアルブミン溶液 | 1.5 mL/1 本 × 2 本 |
④標準尿中ラットアルブミン希釈用液 | 5.0 mL/1 本 × 2 本 |
交差性
交差性
動物種 | 対象物質 | 反応性及び交差率(%) |
Mouse | Albumin |
55 %未満 |
Human | Albumin | 30 %以下 |
Porcine | Albumin | 25 %以下 |
Bovine | Albumin | 18 %以下 |
10 %FCS | 検出感度以下 |
※交差率は、500 μg/mL濃度時(FCSは除く)
ラットの血清・血漿または尿
※正常検体の希釈目安は血清または血漿検体が101倍,
尿検体が1倍です
6.17~500 μg/mL(検量線範囲)
精度試験(アッセイ内変動)
検体 | A | B | C |
1 | 387 | 215 | 25.9 |
2 | 385 | 218 | 26.7 |
3 | 389 | 213 | 25.2 |
4 | 382 | 209 | 24.4 |
5 | 388 | 216 | 25.1 |
mean | 386 | 214 | 25.5 |
SD | 2.8 | 3.4 | 0.87 |
CV(%) | 0.72 | 1.6 | 3.4 |
単位:μg/mL
再現性試験(アッセイ間変動)
測定日/検体 | E | F | G |
0日目 | 256 | 115 | 18.7 |
1日目 | 251 | 121 | 18.1 |
2日目 | 252 | 119 | 19.2 |
3日目 | 250 | 118 | 19.3 |
mean | 252 | 118 | 19.0 |
SD | 2.6 | 2.5 | 0.55 |
CV(%) | 1.0 | 2.1 | 2.9 |
単位:μg/mL, n=3
希釈直線性試験
1血清検体を連続的に希釈用緩衝液で3段階希釈し測定した結果、直線回帰のR2は0.9994でした。