インスリンは細胞内で1本鎖のプロインスリンの形で合成された後、S-S結合が形成され、酵素分解による活性化がおこってC-ペプチドとインスリンが分離します。
インスリン部分のアミノ酸配列はマウス、ラット共通ですが、C-ペプチドの部分は多少違います。マウスC-ペプチド1はアミノ酸29個、2は31個の単鎖ペプチドです。
C-ペプチドはプロインスリンから分離したあと、インスリンとともに分泌されます。
C-ペプチドは長い間生理作用がなく、インスリン生合成の過程においてA鎖とB鎖が正しい形で折りたたまれ、正しい組み合わせのS-S結合ができるようにする作用のほかには生理作用は特に無いと考えられていましたが、近年の研究の積み重ねにより様々な生理作用のあることが明らかになって来ました。まずC-ペプチドは109M程度で内皮細胞、腎尿細管細胞や繊維芽細胞の表面の恐らくGタンパクにカップルした受容体に結合し、カルシウムイオン依存性の細胞内シグナルを活性化すること、Na-K-ATPaseを活性化し、内皮細胞のNO合成を促進すること、受容体との結合には立体的特異性があり、インスリン、プロインスリン、IGF-I、-II、NPYとの交差性がないことが示されています。またC-ペプチドを欠いているⅠ型糖尿病患者にC-ペプチドを投与することにより、骨格筋と皮膚の血流が増強され、腎糸球体のhyperfiltrationを低下させ、尿中へのアルブミンの排泄を抑制し、神経機能を改善するが健常人には作用が現われないことが示されています。このことからⅠ型糖尿病患者にはインスリンのみでなくC-ペプチドの同時投与が合併症の阻止に有用であることが示唆されます。
C-ペプチドのC末端部のペンタペプチド(27-31) が受容体との結合に重要で、この部分の欠如したDes(27-31) C-ペプチド はその作用を失うとされています。このペンタペプチドはC-ペプチドと受容体との結合を完全にreplaceすることができ、Na+-K+ATPaseを活性化します。Des(27-31) C-ペプチドの存在量は新生仔ラットではC-ペプチドの約37 %、成熟ラットでは8.5 %を占めるという報告があります。
C-ペプチドの血中における寿命はインスリンよりも数倍長いという特徴を持ちます。そこで、C-ペプチドの血中レベル測定は臨床的にはインスリン合成、分泌機能を観察するのに用いられます。また尿中に多量に排泄され、血中のレベルとよく相関することから、尿を検体として測定することも出来ます。
また、インビトロで培養されたランゲルハンス島(膵島)からのインスリン分泌の指標としてC-ペプチド測定は有用です。なぜなら、培養液にはインスリンが添加されることが多いので、培養後培養液中のインスリンを測定すると、分泌されたインスリンと添加されたインスリンの区別がつかなくなってしまい、培養開始時の量を差し引かなければなりません。その場合、分泌されたインスリン量が少ないと測定誤差の影響が大きくなり正確な判定が出来なくなります。この時、C-ペプチドを測定してやれば、インスリンと等モルで分泌されますから、分泌されたインスリンを正確に判定できるというわけです。

当社のキットはC-ペプチド1、2の共通部分を認識しますので、トータルのC-ペプチドが測定されます。

 

 

非臨床研究用測定試薬

糖尿病・肥満研究分野

C-ペプチド

シバヤギコード
和光コード
品名 検量線範囲 検体量
(希釈検体)
希望納入価格
(消費税別)
AKRCP-031
631-07231
レビス C-ペプチド マウス(Uタイプ) 46.9~3000 pg/mL 10 μL 65,000円
AKRCP-030
639-07271
レビス C-ペプチド ラット(Uタイプ) 46.9~3000 pg/mL 10 μL 65,000円

 

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