プロインスリンはインスリンの前駆体で膵島B細胞内でアミノ酸86個からなる分子量約9400の1本鎖の形で合成された後、分泌顆粒に移行する過程でS-S結合が形成され、さらに酵素分解によりインスリンとC-ペプチドとなります。分泌顆粒には、分解し残りのプロインスリンも10 %程度存在し、顆粒が分泌される際に共に血中に放出されます。プロインスリンの生理活性はインスリンの5~10 %であると言われております。血中のインスリンやC-ペプチドをイムノアッセイで測定すると、一般的にはこのプロインスリンも測定してしまうことになります。プロインスリンのインスリンに対する割合は、インスリン生合成過程の状況を反映している可能性があります。NIDDM(II型糖尿病)では空腹時やグルコース負荷時、共に血中プロインスリンレベルは健常者に比べて高く、インスリンに対する割合も増加し、空腹時血糖値が高い場合や肥満の際にはこの傾向は顕著となります。高血糖による持続的なインスリンの分泌が未成熟分泌顆粒のままで放出される可能性が考えられます。またインスリノーマでは高プロインスリン血症が歴然と現れます。家族性高プロインスリン血症では遺伝的にプロインスリンからインスリンへの転換酵素の異常やプロインスリン遺伝子の異常により転換酵素の作用を受けないプロインスリンが作られるなどが原因で、分泌顆粒中のIRIの大半をプロインスリンが占めます。甲状腺機能亢進の場合も、甲状腺ホルモン過多による糖新生に伴う血糖上昇がインスリン産生放出を促進し分解し残りのプロインスリン放出も多くなります。
キットの特徴
● 短時間(全反応時間:5時間)で測定可能。 |
● 微量な検体(標準操作法は 10 μL)で測定可能。 |
● 環境に優しい防腐剤を使用。 |
● 全ての試薬が溶液タイプで即座に使用可能。 |
● 高い測定精度と再現性。 |
キットの構成
構 成 品 | 状 態 | 容 量 |
(A) 抗体固相化 96 ウェルプレート | 洗浄後使用 | 60 wells(6×10)/1 枚 |
(B) 標準溶液(200 pmol/mL) | 希釈後使用 | 100 μL/1 本 |
(C) 緩衝液 | そのまま使用 | 60 mL/1 本 |
(D) ビオチン結合抗プロインスリン抗体 | 希釈後使用 | 100 μL/1 本 |
(E) ペルオキシダーゼ・アビジン結合物 | 希釈後使用 | 100 μL/1 本 |
(F) 発色液(TMB) | そのまま使用 | 12 mL/1 本 |
(H) 反応停止液 ※取扱注意 | そのまま使用 | 12 mL/1 本 |
( I ) 濃縮洗浄液(10×) | 希釈後使用 | 100 mL/1 本 |
プレートシール | 4 枚 | |
取扱説明書 | 1 部 |
ラット検体プロインスリン測定結果
レビス プロインスリン-マウス/ラット使用
検体 | mean | SD | N | 備考 |
GK, 16W, オス | 3.13 | 1.47 | 8 | 血清,2重測定 |
CD(SD), 12W, メス | 3.27 | 1.97 | 3 | 血清,不断給餌,2重測定 |
単位:pmol/L
マウス検体プロインスリン測定結果
レビス プロインスリン-マウス/ラット使用
マウス:BALB/c, メス, 8W, 5匹
糖負荷:トレーランG50, 0.5 mg/g体重, 経口投与
採血 :血清(pre, 糖負荷後15min, 30min, 120 min)
絶食 :12時間(pre)
マウス/ラットの血清・血漿
10 μL/ウェル(標準操作法)
交差性
交差性
動物種 | 対象物質 | 反応性及び交差率(%) |
Mouse | Proinsulin | 100 |
Insulin | ― | |
C-peptide | ― | |
Leptin | ― | |
Rat | Proinsulin | 100 |
Insulin | ― | |
C-peptide | ― | |
Leptin | ― | |
Human | Proinsulin | + |
Insulin | ― | |
C-peptide | ― |
※ 交差率は、1060 pmol/mL濃度時
※ +:交差反応性あり -:検出感度未満
0.156~10 pmol/mL(1.47~94.3 pg/mL)(検量線範囲)
0.78~50 pmol/mL(7.35~471.5 pg/mL)(検体量10 μLの時)
単位換算表(マウス)
物質名 | 換算値 |
Insulin | 1 ng/mL = 172 pmol/L |
C-peptide | 1 ng/mL = 276 pmol/L |
Proinsulin | 1 ng/mL = 106 pmol/L |
精度試験(アッセイ内変動)
検体 | A | B |
1 | 4.76 | 0.550 |
2 | 4.52 | 0.558 |
3 | 4.81 | 0.545 |
4 | 4.44 | 0.585 |
5 | 4.65 | 0.559 |
mean | 4.63 | 0.559 |
SD | 0.159 | 0.015 |
CV(%) | 3.42 | 2.76 |
単位:pmol/mL
再現性試験(アッセイ間変動)
測定日/検体 | C | D | E |
0日目 | 5.02 | 1.26 | 0.626 |
1日目 | 4.99 | 1.25 | 0.622 |
2日目 | 5.12 | 1.26 | 0.616 |
3日目 | 5.09 | 1.28 | 0.633 |
mean | 5.06 | 1.26 | 0.624 |
SD | 0.060 | 0.013 | 0.007 |
CV(%) | 1.19 | 1.00 | 1.14 |
単位:pmol/mL n=2
添加回収試験
検体F
添加量 | 実測値 | 回収量 | 回収率(%) |
0.00 | 0.231 | – | – |
0.206 | 0.432 | 0.201 | 97.6 |
0.537 | 0.784 | 0.553 | 103 |
01.59 | 1.70 | 1.47 | 92.5 |
単位:pmol/mL n=2
検体G
添加量 | 実測値 | 回収量 | 回収率(%) |
0.00 | 5.85 | – | – |
1.76 | 7.76 | 1.91 | 109 |
2.64 | 8.49 | 2.65 | 100 |
3.08 | 8.93 | 3.17 | 103 |
単位:pmol/mL n=2
希釈直線性試験
2血清検体を連続的に希釈用緩衝液で3段階希釈し測定した結果、
直線回帰のR2は0.9990から0.9994でした。
AKMPI-111 レビス プロインスリン-マウス/ラット
取扱説明書 / Package Insert SDS Japanese / English
非臨床研究用測定試薬
糖尿病・肥満研究分野
プロインスリン
旧コード 和光コード |
品名 | 検量線範囲 | 検体量 | 希望納入価格 (消費税別) |
AKMPI-111 636-23041 |
レビス プロインスリン-マウス/ラット (60ウエルタイプ) |
0.156~10 pmol/mL |
10 μL~ | 86,000円 |