アルカリフォスファターゼ(ALP)測定キット

アルカリフォスファターゼ(ALP: Alkaline phosphatase)はアルカリ条件下(pH9-11)でりん酸モノエステル結合を加水分解する酵素です。生化学検査における血液中のALPは主に肝・胆道疾患の指標とされています。その他にもALPは骨疾患や妊娠、がんによっても増加します。

ALPの測定は基質にp-ニトロフェニルりん酸(p-NPP)を用いる方法(p-ニトロフェニルりん酸基質法もしくはBessey-Lоwry法)が選択されます。ラボアッセイ ALPはp-ニトロフェニルりん酸基質法を用いて、血液(血清・血漿)や細胞培養上清中のアルカリフォスファターゼ(ALP)を測定するキットです。マイクロプレートを用いて短時間かつ簡便に検体中のALPを測定することができます。

アルカリフォスファターゼ(ALP)とは?

アルカリフォスファターゼ(ALP: Alkaline phosphatase)はアルカリ条件下(pH9-11)でりん酸モノエステル結合を加水分解する酵素です。小腸粘膜や胎盤、乳腺、腎臓、骨、肺、肝臓、脾臓の順に多く存在し、骨格筋や結合組織には少ないことが分かっています 1) 。ALPには組織によって異なるアイソザイムが存在し、大きく分けて(1)組織非特異的(肝臓、骨、腎型)、(2)小腸型、(3)胎盤型、(4)生殖細胞型に分類されます。ALPの機能は未解明な部分が多いものの、組織非特異的ALPは骨や歯の石灰化、組織特異的ALPは細胞分化やIgG輸送、脂質代謝などに関与していることが示唆されています 1)

生化学検査における血液中のALPは主に肝・胆道疾患の指標とされています。肝臓の炎症では、ALPが血液中に流出し、高値を示します。また胆汁の排泄障害などで胆道の内圧が上昇した場合にもALPは高値となります。ASTやALTがあまり増加せず、ALPのみが増加する場合は胆道疾患の可能性が高いと言われています。その他にもALPは骨疾患や妊娠、がんによっても増加します。なお前述のようにALPでは組織によって異なるアイソザイムが存在するため、ALPの値に異常があれば電気泳動などでアイソザイムを調べ、由来臓器を特定します。

アルカリフォスファターゼ(ALP)の測定方法

ALPの測定は基質にp-ニトロフェニルりん酸(p-NPP)を用いる方法(p-ニトロフェニルりん酸基質法もしくはBessey-Lоwry法)が選択されます。本法は感度や再現性、操作性、コストの観点から優れた手法です。基質にフェニルりん酸を用いるKind-King法も類似の手法として用いられることがありますが、p-ニトロフェニルりん酸基質法の方が操作の簡便性において優れています。一方で、本法はビリルビンの影響を受けやすいことが知られています 2)

p-ニトロフェニルりん酸基質法の原理

p-ニトロフェニルりん酸を含む炭酸塩緩衝液(pH 9.8)中で検体を作用させると、検体中のアルカリホスファターゼによりp-ニトロフェニルりん酸はp-ニトロフェノールとりん酸に分解され、生成したp-ニトロフェノールはアルカリ性側で黄色を呈します。この405 nmの吸光度を測定することにより検体中のアルカリホスファターゼ活性値を求めます。

図1 p-ニトロフェニルりん酸基質法を用いたALPの測定原理
図1 p-ニトロフェニルりん酸基質法を用いたALPの測定原理

ラボアッセイ™ ALP

ラボアッセイ ALPはp-ニトロフェニルりん酸基質法を用いて、血液(血清・血漿)や細胞培養上清中のアルカリフォスファターゼ(ALP)を測定するキットです。マイクロプレートを用いて短時間かつ簡便に検体中のALPを測定することができます。※ ラボアッセイ シリーズは研究用試薬です。診断用に使用することはできません。

キット性能

動物種 ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ
検体 血清、血漿、培養上清
検量線範囲 0.0625-0.5 mmol/L p-ニトロフェノール
検体量 20 μL
測定時間 約20分
測定波長 405 nm
イメージ:アルカリフォスファターゼ(ALP)測定キット

参考文献

  1. 1) 石田陽子, 小丸圭一, 織田公光: 臨床化学, 33(1), 36(2004).
    アルカリホスファターゼの構造と機能
  2. 2) 友田勇: 日本獣医師会雑誌, 32(2), 93(1979).
    臨床血液化学検査の考え方 (IX) V. 血清酵素 3. アルカリフォスファターゼ

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