コレステロール測定キット

生化学検査では、主に血液中の総コレステロール、HDL-コレステロール、LDL-コレステロールが測定されます。コレステロールを測定することで、肝臓におけるコレステロールの合成、脂質の代謝、栄養状態などに異常がないかを調べることができます。また動脈硬化の危険を予測する際にも有用な指標です。

ラボアッセイ™ コレステロールは、コレステロールオキシダーゼ ・DAOS法を利用した総コレステロール測定キットです。マイクロプレートを用いて、検体中の総コレステロールを短時間で簡便に測定することができます。

コレステロールとは?

図1 コレステロールの構造

図1 コレステロールの構造

コレステロール(Cholesterol)は、ステロイド骨格を有する脂質です(図1)。生体内ではりん脂質と並んで、細胞膜の重要な構成成分として知られており、細胞膜における流動性の調節などに必要とされています。またテストステロンやプロゲステロン、コルチゾール、ビタミンDなどの材料にもなります。

またコレステロールは胆汁酸の合成にも必要な分子です。胆汁酸は肝臓で合成される消化酵素で、必須脂肪酸や脂溶性ビタミンなど脂質の消化・吸収に利用されています。使用された胆汁酸は肝臓に戻って再利用されるか、腸内細菌によって分解され、便中に排泄されます。

食事から摂取されたコレステロールは、胆汁酸のはたらきで乳化され、小腸でトリアシルグリセロールなどとともにリポタンパク質であるキロミクロン(カイロミクロン)になります。キロミクロンはリンパ管を介して静脈に入り、肝臓へ運ばれます。肝臓のコレステロールはトリアシルグリセロールとともにVLDL(Very-Low-Density Lipoprotein)として放出されます。VLDLは末梢組織でLow-Density-Lipoprotein(LDL)に変化し、組織や細胞にコレステロールを供給します1)。逆に組織や細胞から肝臓へコレステロールを輸送する経路も存在し、High-Density-Lipoprotein(HDL)がこの役割を担っています。

体内のコレステロール値は恒常性によって一定に保たれていますが、コレステロールを含む脂質摂取の増加や調節機構の異常などが生じると血液中のコレステロール値が増加します。特にLDLが血管壁に沈着し、酸化変性すると動脈硬化の原因となり2)、心筋梗塞や脳梗塞につながる恐れがあります。

コレステロールの測定方法

生化学検査では、主に血液中の総コレステロール、HDL-コレステロール、LDL-コレステロールが測定されます。コレステロールを測定することで、肝臓におけるコレステロールの合成、脂質の代謝、栄養状態などに異常がないかを調べることができます。また動脈硬化の危険を予測する際にも有用な指標です。

当社が取り扱っているラボアッセイ™ コレステロールは、「コレステロールオキシダーゼ ・DAOS法」を利用した総コレステロール測定キットです。マイクロプレートを用いて、検体中の総コレステロールを短時間で簡便に測定することができます。

コレステロールオキシダーゼ ・DAOS法の原理

血液中のコレステロールは主にエステル型コレステロール(コレステロールエステル)と遊離コレステロールの形で存在しています。総コレステロールを測定する場合、コレステロールエステルをコレステロールエステラーゼによって、遊離コレステロールに分解する必要があります3)

試料に発色試液を作用させると、試料中のコレステロールエステル類は、コレステロールエステラーゼの作用により遊離コレステロールと脂肪酸に分解されます。生成したコレステロールは、既存の遊離コレステロールと共にコレステロールオキシダーゼの作用を受けて酸化され、同時に過酸化水素を生じます。生成した過酸化水素は、ペルオキシダーゼ(POD)の作用によりDAOS(N-エチル-N(-2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリンナトリウム)と4-アミノアンチピリンとを定量的に酸化縮合させ青色の色素を生成させます。この青色の吸光度を測定することにより試料中の総コレステロール濃度を求めることが可能です。

コレステロールオキシダーゼ ・DAOS法を用いた総コレステロールの測定原理

図2 コレステロールオキシダーゼ ・DAOS法を用いた総コレステロールの測定原理

ラボアッセイ™ コレステロール

ラボアッセイ™ コレステロール

ラボアッセイ™ コレステロールはコレステロールオキシダーゼ ・DAOS法により、血液(血清・血漿)や細胞培養上清中のコレステロールを測定するキットです。マイクロプレートを用いて短時間かつ簡便に検体中のコレステロールを測定することができます。

※ ラボアッセイ™ シリーズは研究用試薬です。診断用に使用することはできません。

キット性能

動物種 ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ
検体 血清、血漿、培養上清
検量線範囲 50-592 mg/dL
検体量 2 μL
測定時間 約10分
測定波長 600 nm (副波長 700 nm)

ラボアッセイ™ コレステロールを利用した教育実習

ラボアッセイ™ コレステロールはコレステロールの測定に必要な試薬・検体がセットになっており、トレーニングキットとしてすぐに使うことができます。コントロール検体を測定して測定技能を身につけながら、測定原理等の知識を深めることができます。

実習資料 酵素を利用した生体成分の測定に関する実験
~「ラボアッセイTMコレステロール」を用いた血清脂質(総コレステロール)の測定~
(星薬科大学 輪千先生 寄稿)

教育実習に最適な理由

  • 短時間(約10分)で測定可能
  • 測定検体は、溶解・混合するだけで処理可能
  • キット容量が500回用と大人数での測定も可能

本キットで学べること

[初心者向け]

  • コレステロールの測定原理と手順
  • 基本的な試薬調製の習得
  • ピペットマンの取扱い
  • 96ウェルプレートの取扱い
  • マイクロプレートリーダーの取扱い
  • グラフの作成、データの解析

[経験者向け]

  • 測定者/測定室の継続的な技能評価
  • 測定者/測定室の問題点の把握、改善のチャンス
    (不適切な測定操作、手順、使用機器・設備の校正不良など)
  • 測定者/測定室間差の把握
  • 測定データの信頼性の担保
  • 教育、実習の機会

キットの操作方法 (教育実習向け)

試薬調製

試薬調製

検体調製

検体調製

測定操作

測定操作

吸光度測定

吸光度測定

検体の調製(検量線作成用)

以下の表に従い、標準液と精製水を混合して試薬を調製する。

Sample No. 試薬の調製 測定での使用
標準液 精製水 使用量 濃度
1 5 μL 15 μL 4 μL 50 mg/dL
2 10 μL 10 μL 4 μL 100 mg/dL
3 標準液 4 μL 200 mg/dL
4 標準液 8 μL 392 mg/dL
※ 測定時液量が増加するため、数値を補正しています。

操作の実際は動画でもご覧いただけます

測定

1. 以下の表に従い、各検体をマイクロプレートに添加する (各2ウェルずつ)

2. 検体を添加したウェルに、発色試薬を200 μL添加する

3. 振とう機等でよく混合し、37℃で5分間静置する

4. マイクロプレートリーダーを用い、ブランクを対照として吸光度を測定する
(主波長 600 nm / 副波長 700 nm)

検体種類 検体 発色試薬
未知検体X 4 μL 各200 μL
未知検体Y 4 μL
Sample 1 4 μL
Sample 2 4 μL
Sample 3 4 μL
Sample 4 8 μL
ブランク 4 μL

データの解析

結果記入シート例

以下のシートに測定結果(吸光度)を記入する。
サンプルはブランク平均値(n=2の場合)を用いて補正する。

結果記入シート例

データ解析例

1. Sample 1-4の吸光度を基に以下のような検量線のグラフを作成する (横軸:コレステロール濃度、縦軸:吸光度)

2. 検量線の回帰式から未知検体X,Yのコレステロール濃度を算出する

データ解析例

参考文献

  1. 山田惠子: 脂質栄養学, 14(1), 27(2005).
    からだの中のコレステロール代謝
  2. 日本動脈硬化学会: https://www.j-athero.org/jp/general/5_colqa/ (2023年4月25日 閲覧)
  3. Allain, C. C. et al.: Clin. Chem., 20(4), 470(1974).
    Enzymatic determination of total serum cholesterol.

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ラボアッセイ™ コレステロール

関連製品一覧

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ラボアッセイ™ シリーズ

ラボアッセイ™ コントロール (コレステロール)

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    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
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