りん脂質測定キット

りん脂質は、親水部と疎水部を併せ持つ両親媒性分子であり、細胞膜の主要な構成成分の一つとして細胞膜の構造と機能に重要な役割を果たしています。またりん脂質はリポタンパク質の構成要素として血液中における脂質の安定化に寄与していたり、コレステロールエステルの合成に必要とされていたり、脂質代謝にも重要な役割を果たしています。血液中のりん脂質を調べることによって肝機能の状態などを知ることができます。

ラボアッセイ りん脂質は、トリンダー試薬を利用した酵素比色法(コリンオキシダーゼ・DAOS法)を採用しています。ホスホリパーゼDを用いているため、内因性のトリグリセライドや遊離グリセリン、無機りんの大きな影響を受けません。測定キットに含まれる酵素のはたらきにより、りん脂質(レシチン、スフィンゴミエリン、リゾレシチン)をマイクロプレートで簡便に測定することができます。

りん脂質とは?

りん脂質は、親水部と疎水部を併せ持つ両親媒性分子であり、細胞膜の主要な構成成分の一つとして細胞膜の構造と機能に重要な役割を果たしています。また、脂肪の乳化、吸収、血液凝固、酸塩基平衡、コリン代謝など様々な機能に関与していることが知られています1)

りん脂質は、グリセリンやスフィンゴシンなどのアルコールに、脂肪酸とりん酸基が結合した構造を持ちます。グリセリン骨格のものをグリセロリン脂質、スフィンゴシン骨格のものをスフィンゴリン脂質と呼ばれます。下図は、グリセロリン脂質の一種であるレシチン(ホスファチジルコリン)で、細胞膜 りん脂質の30-50%を占めます。血清中の主なりん脂質は、レシチン(ホスファチジルコリン)、スフィンゴミエリン、セファリン(ホスファチジルエタノールアミン)、リゾレシチン(リゾホスファチジルコリン)からなり、おおよそ68:19:5:8の割合で存在しており1)、脂質異常、炎症、がん、免疫、神経、肝機能など様々な要因に関係しているとされています。また、生体内の機能としてだけでなく、乳化剤、界面活性剤、リポソームなどの用途として注目されています。

図1 レシチンの構造

またりん脂質はリポタンパク質の構成要素として血液中における脂質の安定化に寄与していたり、コレステロールエステルの合成に必要とされていたり、脂質代謝にも重要な役割を果たしています。血液中のりん脂質はコレステロールと同様の挙動を示すことが分かっており、りん脂質を調べることによって肝機能の状態などを知ることができます。

りん脂質の測定方法

当社取り扱いのラボアッセイ りん脂質は、トリンダー試薬を利用した酵素比色法(コリンオキシダーゼ・DAOS法)を採用しています。ホスホリパーゼDを用いているため、内因性のトリグリセライドや遊離グリセリン、無機りんの大きな影響を受けません。測定キットに含まれる酵素のはたらきにより、りん脂質の内、レシチン、スフィンゴミエリン、リゾレシチンをマイクロプレートで簡便に測定することができます。

コリンオキシダーゼ・DAOS法の原理

試料中のりん脂質(レシチン、スフィンゴミエリン、リゾレシチン)は、ホスホリパーゼDの作用により加水分解されコリンを遊離します。生成したコリンは、コリンオキシダーゼの作用を受けてベタインに酸化され、同時に過酸化水素を生じます。生成した過酸化水素は、ペルオキシダーゼ(POD)の作用により4-アミノアンチピリンとDAOSを酸化縮合させ、青色色素を生成させます。この青色色素の吸光度を測定し、試料中のりん脂質濃度を求めます(図2)。

コリンオキシダーゼ・DAOS法を用いたりん脂質の測定原理

図2 コリンオキシダーゼ・DAOS法を用いたりん脂質の測定原理

ラボアッセイ りん脂質

ラボアッセイ りん脂質は、コリンオキシダーゼ・DAOS法を用いて、血液(血清・血漿)や細胞培養上清中のりん脂質を測定するキットです。マイクロプレートを用いて短時間かつ簡便に検体中のりん脂質を測定することができます。
※ ラボアッセイ シリーズは研究用試薬です。診断用に使用することはできません。

キット性能

動物種 ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ
検体 血清、血漿、培養上清
検量線範囲 75.0-596.1 mg/dL
検体量 2 μL
測定時間 約10分
測定波長 600 nm (副波長 700 nm)

参考文献

  1. 奥村伸生, 戸塚実, 本田孝行, 矢冨裕 編: 「臨床検査法提要 第35版」, (金原出版) (2010).

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