原因と対策

●全ての検体で吸光度が低い
 ⇒測定物質の失活
 →失活防止に分解酵素阻害剤添加
 →保存条件の検討
⇒検体に酵素阻害剤(N3-,F-)?
 →使用を止める
 →検体添加後の洗浄を充分にする
⇒反応妨害物質の存在?
 →添加回収試験,希釈直線性試験を試みる
⇒検体の凍結による影響
 →ごく少量の血清や血漿を比較的大きな容器に入れて凍結保存すると水分が蒸散して血清や血漿が濃縮されタンパク濃度が上がり反応を阻害したり,測定物質が変性したりする可能性があります.マウスの検体は特に量が少ないので注意してください.出来るだけ小さいチューブを使用し測定前に充分に攪拌してください.

●組織や細胞からの抽出検体,クロマトや等電点分離での分画検体で測定値が得られない.
 検体のpHがELISAの測定限界を超えている
⇒緩衝液で希釈し,中性化して測定
⇒少量の酸,塩基で中和して測定
 抽出液に有機溶媒が入っている
⇒有機溶媒は抗原抗体反応を妨害するので
 緩衝液で希釈する
 窒素気流で蒸発させる
 勿論pHにも注意

一応は緩衝液で希釈してみて,アッセイできればその方法が良いでしょう.アッセイできることを証明するには添加回収試験をすべきでしょう.希釈に使う緩衝液に標準品を加えておけばよいのです.

●検体の測定値が高すぎる(低すぎる)
 他の報文よりも高い(低い)
 ⇒その報文のキットと当該キットの標準品の純度が異なっている?
 いつもの測定値よりも高い
 ⇒今回のキットの標準品が変性している?
 いつもの測定値よりも低い
 ⇒検体保存中に失活?(事故?)
 検体の測定値に関する判定は,管理血清(positive control)
 (同一検体などを小分け保管してあるもの)を各測定ごとに検体として加え,同一の測定値が得られるかを検討して行われるべきです.