ピペット精度管理法について

☆正しく定量を行うためには適当な頻度でピペットのメンテナンスと校正を行ってください。

●ピペット精度の校正方法について
○ 自動天秤*と小試験管を準備し、重量を測定してから蒸留水をピペットで加えて再度重量を測定、その差の平均値と標準偏差を求め、
 変動係数[(標準偏差/平均値)× 100]を計算して精度を検定する。
 * 検定する液量によって天秤の種類を変える(100 μL程度なら感度0.1 mg、10 μLなら感度0.01 mg)。
   溶液の状態(温度、粘度など)で精度は変わります。

 
ピペットのメンテナンス法としてはデスカップに対象ピペットで一定量の精製水を分注します。
例えば最大100 μLピペットを使用して100 μLを20回分注した際の各重量のバラツキ(C.V値)が1 ~ 2 %以内のピペット選択をお薦めします。
(ピペットメーカーのテクニカルデーターを参照してください)
 
弊社ELISAキットの分注量は主として5 μL/well、10 μL/well、50 μL/well、100 μL/wellです。
キット操作前に精製水で同様にピペティングを実施してC.V値をご確認してからご使用ください。
実際の検体、緩衝液は精製水よりも粘性が高いのでチップの切れが悪くなりC.V値が悪くなります。また、液量が少ないとC.V.値は大きくなりますので液量に応じたピペットの選択(最大液量に関して)が必要です。どうしても8連並びに12連ピペットを使用したい際には8本並びに12本のチップ毎にC.V.値を点検してください。なお、機種によっては8本 / 1シリンダー、12本 / 1シリンダーのものがあり1本毎の確認ができない機種があります。

 

ピペット操作について

 ☆ここではプランジャー型についてご紹介します。

ELISA測定でピペットを使用する作業は各標準溶液作製、各試薬溶液の希釈作業、各試薬溶液並びに検体、標準溶液を96 wellプレートに分注する作業です。
これらの作業で再現性よく分注するためには、手慣れたピペットを使用することをお薦めします。
手の握り具合が良い事、親指がプッシュボタンにとどく事、プッシュボタンに一定の速さで力が入る事、メンテナンスが簡易な事、軽くて短いピペットをお薦めします。

●ピペット選択について
弊社ELISAキットの分注量は主として5 μL/well、10 μL/well、50 μL/well、100 μL/wellです。
5 μL/well分注時は最大10 μLのピペットを選択、50 μL/well分注時は最大100 μLのピペットを選択してください。
可変式ピペットの注意点として、適当な頻度でメンテナンスと校正を行ってください。精度が悪くなった場合は新しいピペットのご購入をお薦めします。
理由はダイアル式可変タイプのギアの磨耗により精度が落ちるピペットがあるためです。
ELISAキット操作上において8連並びに12連ピペットを弊社ではお薦めしていません。
理由は8本並びに12本のチップの先を96wellプレートの底面並びに底面に近い壁にピペット先端でヒキカキをせずにソフトタッチで均一な力加減の分注作業には熟練が必要なためです。
同一溶液を96wellの全てに分注する際には弊社では連続分注器をお薦めしています。

●プランジャー往復-空気介在型ピペットの長所と短所

〔長所〕
○溶液とピペット本体が接触せず本体が汚れない。
○チップを交換することで別な溶液が直ちに計り採れる。

〔短所〕
○溶液と本体の間に空気相が介在するため、空気の影響が大きい。
○溶液の粘度が影響する。
欠点をカバーするために注意すること
・ 空気の弾力は、吸入・排出の速度と関連しますので吸入排出を余り速く行なわない。
・ 分注の際の速度を一定に保つ。
・ 溶液、ピペット、チップは、室温と同じ温度に到達させてから使う。

a 溶液の温度が室温より高いと空気相が膨張し吸入量が減少します。
b 溶液の温度が室温より低いと空気相が収縮し吸入量が増加します。
※「b」の場合、排出量はセットされたままなので、プッシュボタン1段押しのタイプでは余分な溶液がチップ内に残ることがあります。
またプッシュボタン2段押しのタイプでは余分に吸い込んだ溶液が全て排出されるため、余分に計り入れることになります。
・ 血清や血漿のように粘度が高いと、チップの内側への粘着性が増すので、排出量が減少する可能性があります。
 空気が粘着した溶液をすり抜けて外部に出てしまうのです。

●泡の発生と対策(一例):2段押しピペットでのウェル分注時のポイント
チップは元来撥水性なのですが,それでも表面が濡れる傾向があります。チップを装着して最初に液を吸い上げて排出すると、チップを濡らした分だけ少なく排出されるわけです。
そこでプレウェッティング(後述)をします。最初に吸い上げた分はそのまま容器に戻しブローアウトしてチップを濡らし、もう1度第1ストップまでプッシュボタンを押し下げ、吸い上げ、ブローアウトを行えば、定量的に排出が出来ます。しかし、ブローアウトをすると泡の発生が起こる可能性があります。これを防止するためにブローアウトするときのピペット先端の位置に注意しましょう。
・ まず、分注するときウェルの底面、壁面にチップを接触させないでください。底面と壁面には抗体などが固相化されています。
・ ブローアウトするとき液面にはつけないでください。
・ ウェル壁面から、出来る泡の大きさ分くらい先端を離してください。少し泡と壁面が接触するくらいが良いと思います。
・ いつも一定のスピードで押し下げてください。

最後にタッチ&ゴーを行いチップの先端外側についたサンプルをウェルに入れチップを交換してください(参考図)。
タッチするときもチップ自体をタッチするのではなくチップ先端外側に付いた液面をタッチするようにしましょう。 touchandgo 泡ができにくいようにするのは慣れないと難しいですが、力まずに行ってください。
もしも、泡が発生してしまった場合、1 mmくらいの液面に浮いているものは影響が少ないですが、あまりにも大きく数が2、3個の場合は細いチップで先端だけ接触させ壊してください。チップはウェルごとに新しいものを使用してください。
※ ELISAでは作製した標準曲線により検体の濃度を計算するので標準溶液と検体の分注時のピペッティングを同じ様に行えば添加量の誤差は問題になりません。
(ピペット固有なため。ただし、添加量が設定より少ない場合は低濃度域での感度が出にくくなりますのでご注意ください)。
 ウェル間のピペッティングのバラツキが問題となります。ピペッティング方法は同一の方法で統一し同じリズムで行い正確な量を採ってください。 ※ メーカーにより構造、操作法が異なりますのでピペットの取扱説明書にあったご使用をお願いします。 ※ チップはご使用のピペットメーカー専用のものをご使用ください。
●チップ使用法のポイント
チップ使用法として2つの方法がありますが、どちらか一方の方法に統一してご使用ください。
◎プレウェッテイング法

・ 新しいチップをセットした後、採取する溶液を第一ストップ(プランジャ-が最初に止まる所)の範囲で2~3回吸い上げ放出する「プレウェッテイング」を行った後、溶液を満たす。
・ チップの先端を容器の内壁に軽くタッチし先端の外側についている溶液を除去しピペットを取り出す(タッチ&ゴ-)。
・ チップ先端をウェルの壁から溶液を排出する。この時プランジャ-を最後まで押し、液を完全に排出する(ブロウアウト)。
・ ウェルの内壁でタッチ&ゴ-を行ってピペットを抜き出し、チップを交換する。

 

◎共洗い法(この方法は緩衝液などがすでにウェルやチュ-ブに入っている場合に適用できます。微量な検体・微量な各標準溶液分注作業時などにお薦めします)
・ 新しいチップをセットし、第一ストップまでプッシュボタンを押し下げ、採取する溶液を静かに吸い上げる。
・ 容器の内壁でタッチ&ゴ-を行いピペットを取り出す。
・ 緩衝液などがすでに入っているウェルにチップの先端を入れて溶液を放出し、第一ストップの範囲内で2~3回プッシュボタンを上下して「共洗い」する。最後にブロウアウトする。
・ ウェルの内壁でタッチ&ゴ-を行いピペットを抜き出し、チップを交換する。
・ チップの先を96ウェルプレートの底面に触れないように分注してください。

 

※プレウェッティングと共洗いを両方やらないでください。
※チップの先端でウェルの底面をヒキカクことのないように注意してください。

●全てのウェルに共通な試薬を同一量分注するとき
HRP-アビジン溶液とかTMB溶液とか反応停止液など、全てのウェルに共通に同一量添加する場合には、連続分注ピペットを用いるのが最良です。チップ交換型ピペットは出来れば使用しないでください。非能率的であると共に毎回試薬容器とウェルとを往復することになり、入れ間違いのもとになります。
マルチペットはシリンジ型の大容量チップを使用しますので、空気をすべて押し出してから、最初の1、2回は試薬容器へ排出し、その後ウェルへの注入を開始してください。またチップの先端がやや太いのでタッチ・アンド・ゴーを行ってください。
反応停止液は1M硫酸ですので、シリンジに吸い込んだ後の空気の追い出しには十分注意してください。
ついでながら、硫酸を扱う時には瓶に入れた重曹の濃厚溶液を傍らに備えて置くと良いでしょう。こぼしたり、皮膚にはねたり、衣類にはねたりした時、すぐに重曹液を掛けて中和できます。

※ ELISAでは作製した標準曲線により検体の濃度を計算するので標準溶液と検体の分注時のピペッティングを同じ様に行えば添加量の誤差は問題になりません
 (ピペット固有なため。ただし、添加量が設定より少ない場合は低濃度域での感度が出にくくなりますのでご注意ください)。
  ウェル間のピペッティングのバラツキが問題となります。ピペッティング方法は同一の方法で統一し同じリズムで行い正確な量を採ってください。
※ ピペットなどの器具はメーカーにより構造、操作法が異なりますので取扱説明書にあったご使用をお願いします。
(以 上)
□弊社製品のご紹介
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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